研究開発代表者あいさつ
AMED研究公正高度化モデル開発支援事業「臨床研究者による活用を目指した臨床研究技能と研究公正の統合学修の実用化」のホームページにようこそ。
本事業では、臨床研究に必要な技能とともに研究公正・研究倫理に関する実践的な対応を学修するためのe-learningによる学修システムを構築し、学会などにおける研究公正・倫理教育において実践できるようなカリキュラム化を目指します。
公正な研究が強く求められるようになった背景には、ディオバン事件やSTAP細胞事件など、研究の本質が揺るがされる事態が日本で頻発したことが挙げられます。当時は、データの捏造や改ざんなどが特に問題視され、様々な対策が講じられました。特に、研究者には研究倫理教育が基本的に必須となり、捏造・改ざん・盗用といういわゆる特定研究不正は、多くの研究者が認識することとなりました。しかしながら、一方で、社会の価値観の変遷に伴い、研究倫理や公正の考え方も目まぐるしく変遷します。特に、近年は、研究における市民参画の必要性が指摘されていたり、研究結果の社会への還元も研究に必要な要素であるとされています。また、特定研究不正のように明らかに不正である、とは言い切れないグレイな状況も研究には常に付きまといます。そのため、研究者は、研究倫理や研究公正の既存の概念を身につけるだけでなく、変遷する社会の価値観や必ずしも正答の存在しない課題に対応していく能力が求められます。こういった研究倫理や研究公正に関する課題は、研究のあらゆる段階で生じ得ます。このようなことから、我々は、研究の技能と同時に研究倫理・研究公正に関する課題への対応を学修することが有意義であると考え、本事業の開発に取り組むこととなりました。
本事業の学修では、研究のフェーズ(段階)に合わせて、事例検討を行います。その事例には、臨床研究において遭遇しやすくかつ判断が難しい状況が含まれます。また、事例のテーマとしては、臨床研究において意識すべき様々な事項を扱いますが、特に研究者の認識が浅い、PPI(Patient and Public Involvement:研究への患者・市民参画)やRRI(Responsible Research Innovation:責任ある研究・イノベーション)といった概念も取り扱います。
研究者の皆さまには、臨床研究の技能と研究倫理・研究公正を同時にe-learningで学修できる本事業で開発した統合学修を是非活用いただき、ご意見などをいただきたいと思います。市民の皆さまには、より、皆さまの意見が反映される事業となるよう、ご意見やご支持をいただけましたら幸いです。
研究開発代表者 森本 剛
兵庫医科大学 臨床疫学 教授
メンバー紹介
研究開発メンバー
森本 剛 | 兵庫医科大学 臨床疫学 教授 |
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植田 真一郎 | 琉球大学大学院医学研究科 臨床薬理学 教授 |
松井 邦彦 | 熊本大学病院 総合診療科 教授 |
佐土原 道人 | 熊本大学病院 地域医療・総合診療実践学寄付講座 特任助教 |
作間 未織 | 兵庫医科大学 臨床疫学 講師 |
東恩納 美樹 | 琉球大学 医学部保健学科 老年看護学 助教 |
根津 麻里 | 兵庫医科大学 臨床疫学 助教 |